今日よりや書付消さん笠の露
【意味】ずっと旅を続けてきた曾良とはここで別れ、これからは一人道を行くことになる。笠に書いた「同行二人」の字も消すことにしよう。笠にかかる露は秋の露か、それとも私の涙か。
この句が詠まれた章≫ 山中
曾良の句「行行てたふれ伏とも萩の原」に応えた惜別の句です。
芭蕉の、曾良に対する深い愛情、
身を切られる別れの寂しさ。
目に見えない笠をサッと脱いで、
前に書いてある「同行二人」の文字を
すすっと消す、
実際にそういう動作をしながら読むと
気持ちが乗ります。
ところで惜別の歌といえば漢詩です。
王維「元二の安西に使するを送る」
↑定番どころです。ぜひ聴いてみてください。
この句が詠まれた章≫ 山中
朗読・訳・解説:左大臣光永