有難や雪をかほらす南谷

【意味】残雪の峰々から冷ややかな風が私のいる南谷まで吹いてくる。それはこの神聖な羽黒山の雰囲気にぴったりで、ありがたいことだ。

この句が詠まれた章≫ 羽黒


「ありがたや」なんてストレートな言葉を、あえて
ズバリと使ってることに注目したいです。

なんか俳句だとか文章というのは、
ストレートに言っちゃダメ、
みたいな考え方がありますよね。

「『好きだ』とか『愛してる』という言葉を一切使わずに、
ぼくはその気持ちを表現したいんだ」とか。

そういうのはツマンナイこだわりだというか、
芭蕉ほどの才能ある人物が、「ありがたや」なんて
ズバリ言ってるんです。

もうバンバン、ストレートに言いましょう。
「好きだ」とも「愛してる」とも。

日光で詠まれた「あらたふと青葉若葉の日の光」も、
この句に通じるストレートさです。

この句が詠まれた章≫ 羽黒

朗読・訳・解説:左大臣光永