石山の石より白し秋の風

【意味】那谷寺の境内にはたくさんの白石があるが、それより白く清浄に感じるのが吹き抜ける秋の風だ。境内にはおごそかな空気がたちこめている。

この句が詠まれた章≫ 那谷


「石山」は近江の石山寺のことです。
紫式部が『源氏物語』を執筆したことで知られます。

元禄三年、芭蕉はこの石山寺の側の
幻住庵に一夏を過ごしています。
芭蕉にとってはゆかり深い場所なのです。

鉄道唱歌に歌われています。

「瀬田の長橋横に見て
ゆけば石山観世音
紫式部が筆のあと
のこすはこゝよ月の夜に」

……その石山寺の石より、ここ那谷寺を吹く風は
さらに白いよと。そういう句です。

この句が詠まれた章≫ 那谷

朗読・訳・解説:左大臣光永