越後路
「奥の細道」の旅もいよいよ後半。北陸道に入ります。「荒海や佐渡によこたふ天河」…雄大な句です。
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原文
酒田の余波日を重て、北陸道の雲に望。遙々のおもひ胸をいたましめて、加賀の府まで百丗里と聞。鼠の関をこゆれば、越後の地に歩行を改て、越中の国一ぶりの関に到る。此間九日、暑湿の労に神をなやまし、病おこりて事をしるさず。
文月や六日も常の夜には似ず
荒海や佐渡によこたふ天河
現代語訳
酒田の人々との交流を楽しんでいるうちに、すっかり日数が経ってしまった。ようやく腰を上げてこれから進む北陸道の雲を眺めやる。
まだまだ先は長い。その遙かな道のりを思うと心配で気が重い。加賀国の都、金沢までは百三十里ときいた。
奥羽三関の一つ、鼠の関を越え、越後の地に入ってまた進んでいく。そして越中の国市振の関に到着する。
その間、九日かかった。暑いのと雨が降るので神経が参ってしまい、持病に苦しめられた。それで特別書くようなこともなかった。
文月や六日も常の夜には似ず
(意味)七夕というものは、その前日の六日の夜でさえなんとなくワクワクして特別な夜に感じるよ。
荒海や佐渡によこたふ天河
(意味)新潟の荒く波立った海の向こうに佐渡島が見える。その上に天の川がかかっている雄大な景色だ。北原白秋の童謡「砂山」には、この句の雰囲気が漂います。
注
- 酒田の余波日を重て
- 芭蕉は象潟からいったん酒田へ戻り、八日間滞在した。
- 鼠の関
- 奥羽三関の一つ。古くは念珠の関。ほかは白河関・勿来関。
- 越中の国一ぶりの関
- 実はまだ越後。越中とあるのは芭蕉の誤り。
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