酒田
短い章ですが、句が秀逸です。「暑き日を海にいれたり最上川」…太陽が沈むさまが、まるで一日の暑さを全て最上川にぶちこんだようだ、と。このスケールのでかさこそ、芭蕉の真髄と思います。
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原文
羽黒を立て、鶴が岡の城下、長山氏重行と云物のふの家にむかへられて、俳諧一巻有。左吉も共に送りぬ。川舟に乗て、酒田の湊に下る。淵庵不玉と云医師の許を宿とす。
あつみ山や吹浦かけて夕すヾみ
暑き日を海にいれたり最上川
現代語訳
羽黒をたって、鶴が岡の城下で長山氏重行という武士の家に迎えられて、俳諧を開催し、一巻歌仙を作った。
図司左吉もここまで送ってくれる。川舟の乗って酒田の港へ下る。その日は淵庵不玉という医者のもとに泊めてもらう。
あつみ山や吹浦かけて夕すヾみ
(意味)ここあつみ山から吹浦(海)を見下ろす。「あつみ山」と名前からして暑さを思わせる山から涼しい風を思わせる吹浦を見下ろすのは、しゃれた夕涼みだ。
暑き日を海にいれたり最上川
(意味)最上川の沖合いを見ると、まさに真っ赤な太陽が沈もうとしている。そのさまは、一日の暑さをすべて海に流し込んでいるようだ。
注
- 長山氏重行
- 長山五郎衛門重行。酒田藩士。図司左吉の縁者。江戸勤務中に芭蕉を訪ね、入門。
- 淵庵不玉
- 酒田の医師伊東玄順。俳号不玉。庄内藩主の侍医。大淀三千風(おおよどみちかぜ)門下の俳人であったが、この時芭門に入門。
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